究極の選択は倫理的行為なのか
ほうぼうで噂のサンデル教授の講義。
「ハーバード白熱教室」
http://www.nhk.or.jp/harvard/
この講義のネタ本も取り寄せた。
Justice: What's the Right Thing to Do?
- 作者: Michael J. Sandel
- 出版社/メーカー: Penguin
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: ペーパーバック
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しかし、なぜこんなことがいまさら蒸し返されてるのだろう。究極の場面における選択は、倫理的に正当化されるべきことではない。むしろ、究極的な選択の場に置かれること自体に問題というか、政治性がある。
そのようなことを、3年前の障害学会で報告した。
「ジレンマの解決に向けて――倫理学的視点から」
http://www.arsvi.com/2000/0709ny.htm
ここで批判した以下の本も、究極の選択における倫理的正当性を考えようとしたものである。
- 作者: マーティンコーエン,Martin Cohen,榑沼範久
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 文庫
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ただ、サンデルの本で考えるべき論点はいくつかはある。その1つはアファーマティブ・アクションの規範的議論。これについて、サンデルは白人と黒人の大学進学を題材に述べている。日本でいえばさしずめ、部落出身者についての問題における規範的議論とでもなろうか。ただ、よりクリティカルには、「働く」という文脈において、女性や障害者など、からだ(身体/精神/思考)に直に変位がある人の就職に関してはどうなのかということ。これを規範論的に解くのは難しく、まだ誰も成功していないと思う。また、アメリカでも黒人が就職時に排除されることがあるが、肌の色も広義の「能力」なのか、あるいは、能力による就職拒否はどこまで正当化されるか、など、未決の問題がいくつもある。亡くなったアイリス・ヤングあたりはこのあたり議論していたが、彼女の議論も私は成功していないように思える。
Justice and the Politics of Difference
- 作者: Iris Marion Young
- 出版社/メーカー: Princeton Univ Pr
- 発売日: 1990/08/17
- メディア: ペーパーバック
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