単著刊行のお知らせ

2015年3月11日、私の2冊目の単著となります『「共倒れ」社会を超えて――生の無条件の肯定へ!』が筑摩書房から刊行されます。ご関心のある方は、ぜひ手に取っていただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

以下、目次です。
はじめに

  ■ 犠牲と倫理
  ■ 障害者問題と犠牲
  ■ 本書の構成

第1章 生の無条件の肯定という企て

 1 生の無条件の肯定とは何か
  ■ 存在そのものを肯定する倫理学
  ■ 存在を肯定するのに条件はいらない
  ■ 私自身の「現実」
  ■ 生存に条件を付す「犠牲」の思想

 2 功利主義の問題点
  ■ 少数者の犠牲を容認する功利主義という思想
  ■ 現実のジレンマを解決する?
  ■ 背負うべき負い目を取り除く功利主義
  ■ 根源的な自由を奪っていく倫理的ルール化
  ■ 現実と倫理の混同

第2章 倫理とは何か

 1 倫理学とはどういう学問か
  ■ 倫理学のイメージ
  ■ 倫理学は処世術ではない
  ■「他者とともに、豊かに生きるにはどうすればいいか」を問うのが倫理学

 2 ともに豊かに生きる他者とは誰のことか?
  ■ ともに豊かに生きるべき他者とは誰のことか?
  ■ 社会の一員として受け容れるか否かという問題
  ■ 社会から捨て置かれた存在が告発しなければならないのか?
  ■ 他者からの〈呼びかけ〉への〈応答〉
  ■ 論理的であることの重要性

 3 「共に」生きるということ
  ■「共倒れ」を助長するこの社会
  ■ 共依存による「共倒れ」を引き起こすこの社会
  ■「現場」に直接かかわることについて
  ■ 誰もが支援にかかわれる社会へ

 4 「豊かさ」とは何か
  ■「豊かに生きる」ということ
  ■ 経済学と功利主義
  ■ 経済成長至上主義を拒否する「豊かさ」
  ■ 犠牲と「豊かさ」

第3章 犠牲の問題として障害者問題を考える

 1 障害者の問題はなぜ犠牲の問題なのか
  ■ 各人に我慢を強いるこの社会
  ■ 問題の本質は犠牲の問題である
  ■「合理的配慮」の「合理性」とは何か?

 2 生まれてくる生命を選別するということ
  ■ 出生前診断で何がわかるのか
  ■ 出生前診断の何が問題か
  ■ 医療者側の障害観を問う
  ■ 社会的なサポートの不備
  ■ 生命を選別する優生思想
  ■ 新型出生前診断と優生思想
  ■ 産科医療保障制度の何が問題か
  ■ 出生前診断の真の問題とは?

 3 尊厳死と犠牲
  ■ 安楽死尊厳死とは何か?
  ■ 日本における安楽死尊厳死
  ■ 諸外国における安楽死尊厳死
  ■ 日本尊厳死協会の主張
  ■ 尊厳死の主張への反論
  ■ 尊厳死を犠牲の問題として考える

 4 いのちを選別するこの国の教育
  ■「発達保障論」と「共生教育」
  ■ 「反発達」論とは異なる道へ
  ■「私と異なる存在との出会い」としての発達
  ■ 教育の本来的な目的とは何か?

第4章 倫理学の再構築

 1 トリアージ問題
  ■ トリアージとはなにか
  ■「トリアージは倫理的に容認し得るか」という問い
  ■ 一つの対応の仕方」として容認するのは欺瞞か?
  ■ 真に問うべきは非被災者の行為である

 2 人を追い込むこの社会と追い込まれている人たち
  ■ 支援を得ながら自分で決めるということ
  ■「追い込まれた人」の犯罪をどう考えるか
  ■ 追い込まれた人は何でもする、としか言いようがない
  ■ 分断をもたらすこの社会をこそ批判する

 3 自由な主体、そして責任
  ■「この私」を可能にする他者の存在
  ■「選択と行動の自由」と「根源的な自由」
  ■ 他者への応答によって知る「自由」の生起
  ■ 他者への責任と自由な〈主体〉
  ■〈主体化〉には終わりがない
  ■〈主体化〉を拒むこの社会に抗うということ

 4 権力に対峙する倫理学
  ■ 生命の「尊厳」と「生そのもの」
  ■ 障害者の「生そのもの」を選別する権力
  ■「どうせ」という思考
  ■ 本当に「私には関係がない」問題なのか
  ■「生そのもの」の犠牲に抗する

 5 「どうせ」を押しつけてくる現実にいかに抗するか
  ■ 異論を封殺する「総無責任社会」
  ■ 権力への抗い方――自らの経験から
  ■ それは「大衆蔑視」ではない
  ■ 障害者による交通アクセス権獲得運動
  ■「好きで社会運動にかかわる」の意味

終わりに 障害者を犠牲にするこの社会に抗する倫理学

あとがき